2010年4月6日火曜日

「うえいぶ」43号


いわきの総合文化雑誌「うえいぶ」43号が3月下旬、発行された=写真。きょう(4月6日)はこの雑誌の発行に尽力した故里見庫男さんの命日。里見さんの後を継いだ「うえいぶの会」代表の安濃廣美さんらと4人できのう、里見家を訪ね、仏前に43号を献じた。併せて、里見さんが初代代表幹事を務めたいわき地域学會の会報「潮流」第37報を供えた。

友人・知人を招いての一周忌は3月22日に行われた。寺での法要のあと、古滝屋で行われた会食はにぎやかなものになった。里見さんが人寄せをすると、最後は「青春時代」や「青い山脈」の大合唱になる。今回も私が帰るころには会場から「青春時代」の音楽が聞こえてきた。

里見さんが浄土の人となってからのこの1年は、よく言えば静かな1年、悪く言えば物足りない1年だった。新しい人と言葉を交わす機会がめっきり減った。里見さんが“一人幹事”となって催してきた定期的な飲み会が中断したためだ。新しい風が吹けば、刺激にもなる、考えを深めるきっかけにもなる。そういう出会いの場が減った。

里見さんの奥さんといろいろ話した。里見さんは「菜の花が好きだった」。仏前にその菜の花が飾られてあった。菜の花好きは山村暮鳥の「いちめんのなのはな/いちめんのなのはな/いちめんのなのはな/……」に由来することが分かった。

野口雨情といい、暮鳥といい、里見さんは彼らがいわきに住んだ縁を大事にして資料を集め、研究し、かたちに残した。野口雨情記念湯本温泉童謡館はその最たるものだろう。里見さんの「ふるさと愛」は、こうした文学とのつながりのなかで最も輝いていた、と今さらながらに思う。

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