2010年5月4日火曜日

桜花繚乱


タイトルの「桜花(おうか)」はヤマザクラだ。園芸種のソメイヨシノではない。

5月2日午後、夏井川渓谷の無量庵を戸閉めし、いわき市立草野心平記念文学館へ出かけた。6月27日まで「生誕100年記念 草野天平展」が開かれている。

文学館へ向かっていたら、その先、小玉ダムの奥の山がヤマザクラの花で染まっていた。心が波立つほどに山がうっすらパステルカラーの衣装をまとっていた。文学館の企画展を見たあと、吸い寄せられるように小玉ダムへと足を伸ばした。

ダムによるせき止め湖は、愛称が「こだま湖」。ヤマザクラは人工湖の周囲の山に満ちあふれていた。ダムの天端(てんぱ)中央から、ヤマザクラに染まる山をパチリとやった=写真。やりながら、〈ここは「いわきの吉野」と言ってもいいのではないか〉。見事な山の色彩に目を奪われた。

いわきではまだ、里山も、奥山もヤマザクラの花でほんのりピンク色に染まっている。私は一種の身びいきで夏井川渓谷のヤマザクラの花を好ましいと思っていたが、こだま湖のそれは渓谷の比ではない。ヤマザクラの数が違う。ボリュームもある。遠目にもよく目立つ。

西行もこうして圧倒されて眺めるしかなかった、というときがあったかもしれない。それが、吉野。ここも、コンクリートののり面に目をつむればすごい。思いはそこまでめぐる。ヤマザクラの開花時、夏井川渓谷とだけ向き合っていたために、これほどの佳景に気づかなかった。

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