2010年5月15日土曜日

毛虫横断


毎年今ごろになるとみられる現象だ。夏井川の堤防天端(てんぱ)、アスファルト路面を赤黒い毛虫=写真=がそそくさと横断する。河川敷のサイクリングロードでも同じように移動する毛虫を見かける。

堤防の天端は車の通り道でもある。毛虫に気づいてハンドルを切るドライバーがいる。そのまま通り過ぎるドライバーがいる。毛虫は運が悪いと、体内から緑色の消化物を放出して果てる。

何という名前の毛虫だろう。気になるのでネットで調べたら、同じような疑問に支配されて検索をかけた人がいっぱいいる。「クマケムシ」と俗称されるシロヒトリ(蛾)の幼虫と分かった。えさの食草を探して道路を横断するのだという。

キアゲハの幼虫はパセリやニンジンなどの葉を、ナミアゲハの幼虫はミカンやサンショウなどの葉を――と食草は限定的だが、シロヒトリの幼虫は雑食性だ。スイバやイタドリ、タンポポ、オオバコなどが食草だという。堤防に普通に生えている草たちだ。

小学校に上がる前だったか、似たような色合いの毛虫をてのひらにのせたら、毒針毛にやられた。しばらくてのひらが痛がゆかった。その経験があるので、毛虫には素手では立ち向かわない。シロヒトリの幼虫も、見るからに鋭い針毛を背負っている。毒は持っていない。とはいっても、さわらぬ神にたたりなし、だ。

人間が住む方、堤防の外側の土手で伸び始めた草を、近くの住民が刈る。その作業が始まった。「クマケムシ」の移動には草刈りも関係しているだろう。

夏井川の堤防という身近な自然を構成する生き物の一員の名前が分かったことを、喜びとしよう。名前が分かれば愛着がわく。虫に食べられる草にも気持ちが傾く。「知る」とはそういうことなのだろう。

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