2010年6月12日土曜日

アオスジアゲハ


庭にある木が白い花をいっぱいつけている。たぶんイボタノキ――ということは、きのう(6月11日)書いた。その花にアオスジアゲハがやって来る。去年は5月26日、飛来に気づいて初めて吸蜜する姿を撮影した=写真

今年は4月の天候不順が影響したのだろう、開花が6月にずれ込んだ。花が咲かなければ当然、アオスジアゲハはやって来ない。

体に刻んだ記憶はその時期が来ると、なにか輪郭の定かでない残像となってあらわれる。それがだんだんはっきりする。5月末あたりからアオスジアゲハの姿が目の奥にちらつき始めた。

イボタノキの開花を待ち望む日が続いた。花が咲いた。となれば、いよいよ飛来が気になる。ちらちら花を見て過ごすこと数日、ついにやって来た。きのうの午後3時前。車で出かけようと庭へ出たら、イボタノキの花の周りを飛んでいる蝶がいる。アオスジアゲハだ。〈来たよ〉。黙って指をさし示すと、カミサンも瞠目した。

アオスジアゲハは、いわきでは30年前も、20年前も、夏になると見られた。いわきでは普通のアゲハ――と思っていたが、南方起源の蝶だ、東北南部、つまりいわきあたりが北限らしい。それが、地球温暖化のせいで北上しているという。元高校の理科の先生に教えられた。

子どものころの記憶を探る。阿武隈高地の、山に囲まれた町で生まれ育った。クロアゲハは記憶にある。キアゲハもある。しかし、アオスジアゲハは記憶にない。いわきで初めて見たとき、なんという名前の蝶なのか分からなかった。「アオタテハ」なんて誤って覚えたくらいだ。アオスジアゲハは地球温暖化の身近な指標、ということなのだろう。

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