2010年7月3日土曜日

かっこんばな


こちらの耳には方言の「かっこんばな」ないし「たっぽんばな」と聞こえた――としての話だ。旧知の夏井川渓谷の住人から、わが家に電話がかかってきた。〈庭の「かっこんばな」が花をつけた。白い色のものもある。珍しいのかどうか〉。本来なら、私が逆に質問するような事柄だ。

「かっこんばな」とはホタルブクロのこと。花の色は赤紫色だ=写真。というより、図鑑にはその色が標準的に載っている。もちろん、白花もある。が、刷り込み現象と同じで、ホタルブクロといえば赤紫色の花が思い浮かぶ。いや、赤紫色でないといけない、という思いが強い。

ついでながら、「かっこんばな」「たっぽんばな」のほかに、いわき地方ではホタルブクロのことを「ちょうちんばな」「あめふりばな」とも言う。

夏井川渓谷で、平地の里山で、このホタルブクロが花盛りだ。ほかの草に隠れるようにしながら釣り鐘状の花を垂らしている。赤紫色の花を見ると、梅雨の深まりを実感する。やはり、「あめふりばな」だ。

ところが、ここ数年、白花もあちこちで見かけるようになった。昔もこんなに多かっただろうか。いや、白花の記憶は薄い。そのせいもあって、白花にはあまり興趣をそそられない。なんとなく味気ない思いがするのだ。

ホタルブクロは、東日本では赤紫色の花が多く、西日本では白色の花が多いとか。白花の分布範囲が東に拡大しつつあるということか。気になる現象の一つだ。

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