2010年7月5日月曜日

草刈り


夏井川渓谷の無量庵は、庭だけは広い。元は畑だった。そこに半分、家を建てるために盛り土をした。下の庭と家のある上の庭は石垣で仕切られている。要するに、庭が二段になっている。下の庭は放置しておくとヨシが生い茂る。無量庵に通い始めた15年前がそうだった。

そのころは、石垣の上、家の立つ庭だけ大鎌で草を刈った。40代半ば。体力もまだあった。しかし、それでもあごが上がった。下は当然、ほったらかしにしておくしかない。それではヨシ原に化ける。草刈り機を操る知人(女性)に草刈りを頼むことにした。「あなたは自分の足を刈ってしまうから」と、カミサンが勝手に決めたのだった。

以来、毎年2回(6月と10月)、一日がかりで庭の散髪をしてもらう。今年も先日、第一回の散髪が終わった=写真。刈り草は、前は川前の畜産農家が「牛のえさに」と、草刈りが終わるやいなや電話をかけてきて、きれいに持って行った。あとで牛フンをもらう――それが取引条件だったが、このごろは連絡がない。牛の飼育をやめたのだろうか。

連絡がない以上は、刈り草を堆肥枠に投入するしかない。日曜日(7月4日)、カミサンが熊手でかき集め、ネコ(一輪車)で運んで山のように盛り上がったのを、私が踏んで平らにした。軽労働だが、蒸し暑いのですぐ汗がにじむ。これが最近はこたえる。長い間ビルの中で過ごしたために体が順応できていないのだ、とカミサンは言う。そうかもしれない。

朝、わが家から無量庵へ向かう道すがら、各地で草刈り隊を見た。とっくに終わったところ、これから始まるところ、個人で草刈り機を操っている人と、きのうの日曜日は草刈り日和だったようだ。農村景観はこうした草刈りによって維持されている。無量庵からの帰路、野道に出ると刈られた青草の匂いが車に飛び込んできた。

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