2010年7月8日木曜日

「なごむぜ」


若い友人夫婦の娘2人を、しばらく「疑似孫」と言ってきた。娘たちも「タカじい」と呼んできた。今もそう呼んでいる。息子夫婦に子供が生まれてからは、「疑似」という言い方もないなと、と思った。「助教授」が「准教授」に代わったように、「准孫」と言い換えよう。今は「准孫」と言うことにしている。

昼間、息子夫婦が来て上の孫をおいていった。夕方6時に、親と一緒に「准孫」が来るというと、旧知の間柄の息子夫婦も下の孫を連れてやって来た。夫婦2人だけの夕餉が、その晩は一挙に10人になった。

准孫は小5、小3。孫は3歳、1歳。男どもは焼酎、運転手役の女性陣はカミサンを除いてノンアルコールの「ビール」で盛り上がった。とはいえ、孫がわきで遊んでいるから、気炎を上げるような飲み方はできない。ときどき孫がまとわりつくので話も中断される。ところが、ありがたいことに女孫が男孫の面倒をみてくれるようになった。

小5は本が好き、小3は絵が好き。その晩、小3が1枚の画用紙に描いたり、張ったりした漫画ににんまりした。

「A(エース)」という名のネコがいる。人間の「ママ」がいる。「明日の未来はここから……」というキャッチコピーのある、コーヒーだかがカップの中で湯気を上げている絵がある。そして、「海 ボッサ」のタイトルの下に音楽がガンガン流れているスピーカーの絵もある。

極めつけは飲食店の絵だ=写真。壁にウイスキーボトルとグラスと思われるものが並んでいる。「A」と思われるネコがカウンターに陣取って、「なごむぜ、この店。」なんて、一丁前の口を聞いている。そのそばでは、ママさんが「あら、いいこというじゃない?」。

なんだ、この決めゼリフは。どこで覚えたのか。漫画の本にあるのか。親がそんな会話をしているのか。「なごむぜ」などという言葉をはいたことのない人間は、戸惑いながらも飲み助の本質をついた小3の漫画に感心する。

ママさんは自分の母親がモデルだろう。顔が似ている。「あら、いいこというじゃない?」という言い方もそっくりだ。まさか自宅の台所がスナックのようになっているわけではないだろうが。

「物語」が立ちあがって来る漫画だ。なにかの模倣にしても、それを切り取る力がついた。オリジナルならなおさら面白い。

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