2010年9月5日日曜日

「いわき能」


おととし(2008年)の4月、いわき芸術文化交流館「アリオス」で能の公演が行われた。「アリオス」の完成披露と銘打ち、いわき市民のための能を知る会が主催し、アリオスが共催した。アリオスは日本有数のイベントホールだ。能の公演ができる特設舞台まで持っている。「知る会」の人間との義理もあって、チケットを買って観賞した。

以来、「いわき能」として毎年、開催されている。3回目の今年は8月29日に開かれた。知人が持ってきたチケットは、大相撲でいえば「砂かぶり」。舞台に向かって2列目中央、やや左だ。顔を上げて見るようになるのではないか――それはまあ、かまわない。覚悟して席に着く。

あとで、特設舞台の配置を確認したのだが、舞台には向かって左手前に「目付柱」がある。右側には「ワキ柱」がある。奥にはシテ柱。その左手には演者が登場する「橋掛り」があって、外には若い松が3本(右から一の松、二の松、三の松)添えられている。

大相撲の「砂かぶり」の近さだ。演者の表情がよく分かる。それはいいのだが、舞台のすぐ奥の「後座」に並んでいる鼓と笛など4人のうち、右端の一人が「目付柱」に邪魔されて見えない。シテがそのへんで演じているときもしぐさが分からない。体を右にかしげ、左にかしげして、やっと動きを見ることができた。

言い換えれば、「見付柱」がシテの動きを隠している。柱が邪魔、最悪の席に座ってしまった。

公演が終わったあと、自分の席から舞台を写真に撮った。視野の中央を「見付柱」が遮っている=写真。その辺りは最初から空席にしたらどうか、あるいは「見付柱」を透明なアクリル製にできないものか、などと詮ないことを考えた。

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