2010年10月7日木曜日

食菌だが……


夏井川渓谷にある無量庵の庭に、今年もそのキノコが発生した。「大発生」ではない。「小発生」でもない。こことあそこといった具合に、ほどほどに群生する。菌輪をつくるキノコなら絵にもなるが、小さく何列にもなって生える。

見た目は食菌のシロオオハラタケ。でも、図鑑でチェックすると違う。キノコに触れても黄変しない。ということは、ハラタケ科のほかのキノコだ。ザラエノハラタケに違いない。これも食べられる。

毎年のことながら、図鑑をみて食べ方をあれこれ考える。鉄板焼きとかすき焼きはよそう。けんちん汁も、つけ焼きもめんどくさい。簡単なのは油いためだ――と。

幼菌から成菌まで並べてみた=写真。幼菌はまだひだにカバーがしてある。カバーはやがてはがれて、柄の上部のつばになる。傘は白く、傘裏のひだは淡いピンク色だ。ひだは成長するにしたがって黒っぽくなり、傘は白地に点々とコーヒー色のささくれができる。

今年も食べるのを見送った。キノコにのめり込み始めた30代の初めなら迷わずに食べたろう。が、その倍の時間を生きた今は、冒険をしなくなった。わが家に持ち帰り、一日悩んでごみ容器に入れ、夏井川渓谷の土に戻すことにした。

食菌にも食欲のわかないものがある。地元の人から食べた話を聞かないとか、見た目が毒っぽいとかもあるだろう。少し格好をつければ、いわきキノコ同好会に入って食欲にブレーキがかかるようになった。

中毒を起こすクサウラベニタケを、食べられるウラベニホテイシメジと誤認することがないのも、同好会で違いを学んだ結果だ。

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