2010年10月21日木曜日

カマキリ産卵


カマキリが田んぼと宅地を仕切るフェンスに産卵していた=写真。新規に開発された戸建て・賃貸の住宅地だ。カマキリが生息するような環境ではない。カマキリの産卵を人間が目撃することも、まずない。

それが、目の前で展開されている。産卵を始めた以上は、人間に注視されてもやめるわけにはいかない。それほど必死の行為だ。が、なぜこんなところで――。長男一家が住む家に上の孫を送り届けたら、孫の母親からカマキリの産卵を教えられた。10月初めのことだ。

玄関前の駐車スペースの奥にフェンスが張られている。車を止めればカマキリが目に入る。何時間も前に産卵を始めたのだろう。

たとえば、夏井川渓谷の無量庵。庭と周囲の自然が一体化している「虫の王国」だから、カマキリがどこに産卵してもおかしくない。ススキに産みつけられたオオカマキリの、円錐形の卵嚢(らんのう)をよく見かける。

ところが、フェンスの卵嚢は縦長だ。オオカマキリではない。単にカマキリと呼ばれているチョウセンカマキリらしい。それが、どこからか飛来し、フェンスの支柱に逆さまに止まって、尻から卵をひり出しては産みつけている――。いい光景だな。

カマキリであれなんであれ、いきものの産卵を目撃すればおのずと厳粛な気持ちになる。産卵場所が見当たらず、思い余ってそこに飛来したかどうかはどうでもいい。孫の家へ行くたびにチラリと見る楽しみができた。

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