2010年11月9日火曜日

第33回吉野せい賞表彰式


いわき市立草野心平記念文学館で11月7日、第33回吉野せい賞表彰式が行われた。選考委員の一人として選考結果を報告した。表彰式に先立ち、リハーサルと記念撮影が行われた=写真。昼食を兼ねた、受賞者と選考委員との懇談会も開かれた。

吉野せい賞はこの2年、準賞、奨励賞どまりだった。3年ぶりに自営業鈴木俊之さん(33)の「融解」が「吉野せい賞」に選ばれた。「せい賞」=「正賞」でもある。奨励賞は高校2年青柳千穂さん(16)の「視線は世界のガラス越し」、教員高野由里さん(44)の「僕が出会ったサンタクロース」が受賞した。

青少年特別賞に選ばれたのは中学1年猪狩光央さん(13)の「銀色のとびらを越えて」。自然環境問題をテーマにしたファンタジーだ。私自身が「環境文学」とでもいうべきものに関心があるので、興味を持って読み始めた。ぐいぐい引き込まれた。始めから終わりまで物語が破綻しない。驚きが喜びに変わった。

特に感心したのは、「妖精食いツルバラ」「夜のひと時」「つげ口花」といった、個性的な植物が次々に登場してくることだ。ネーミングの妙、個性的な植物を造形する想像力と創造力に舌を巻いた。

懇談会で聞いてみた。「銀色のとびらを越えて」の主人公は9歳の少女ルニア。両親がスペインへ出かけるのだが、どこから? つまり、物語の舞台はどこ? イギリスだという。「湖水地方? ピーターラビットの?」。うなずいた。小さいときから物語を書いてきた、外国の作品を読むのが好きだという。その積み重ねの上に受賞作品が生まれた。

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