2010年11月7日日曜日

じゃんがら伝承祭り


いわき芸術文化交流館「アリオス」で11月5日、いわき地域学會主催で「じゃんがら」伝承祭りinいわきが開かれた。「開かれた」と書いたが、主催した側の一人だ。いわき市文化センターで3回にわたる講座(9~10月)を開き、そのしめくくりとして、実演をもとに、講座を担当した夏井芳徳副代表幹事が解説した。

「じゃんがら念仏踊り」は“いわき人”の心の原風景だ。青年会が月遅れ盆に新盆家庭を回ってチャンカチャンカとやる。いわき人は母親の胎内にいるころから、このチャンカチャンカを聞いて育つ。「じゃんがら」はいわば、根源的ないわきの音、いわきのリズムである。

その「保存・継承」「普及・啓発」をこの4年ほど、いわき地域学會は事業の柱の一つにしてきた。「見るだけのじゃんがら」ではなく、江戸時代の「じゃんがら」がそうだったように、「参加するじゃんがら」の再生を願ってのことである。

「伝承祭り」はアリオスの小劇場で開かれた。平・菅波、三和・中寺、遠野・根岸の3青年会が出演した。菅波のじゃんがらは「勇壮で雄大でゆったり」、中寺のじゃんがらは「早くて迫力のある『ぶっつけ』(太鼓と鉦)」、根岸のじゃんがらは「笛が入り手踊りがない」のが特徴。同一ステージで順に演じることで三者の違いがよりはっきり感じられた。

さて、ここからは主催者の一員としての裏話。当日、午後1時にアリオス側のスタッフと打ち合わせをし、4時には地域学會の仲間と役割分担その他の確認をして、6時半開場・7時開演に備えた。

こうした「興業」は、私にとっては初体験だ。5分前に予鈴がなり、やがて開会し、閉会するまでの1時間半余、舞台のそでに詰めてシナリオを絶えずチェックしながら、舞台と楽屋の連絡調整をした(といっても、みんなが役割分担をこなしたので、予定より早い進行にもスムーズに対応できた)。

舞台のそでから見聞きした=写真=感想をいえば、人が入っていないリハーサル時の「じゃんがら」は太鼓も鉦も耳にガンガン響いたが、人で満席状態になったら心地よい響きに変わった。人間の服が音を吸収するらしいことが初めて分かった。

「興業」を打ってみてあらためて、地域学會は人材が豊富なことを実感した。司会、受付、会場誘導、書籍販売、記録……。地域学會のみならず、さまざまなところで経験を積んでいる。それが今度も生かされた。「じゃんがら」はいわきの人間の心を一つにするが、そのイベントを通して地域学會のスタッフもより一層つながりを深めたという思いがした。

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