2010年11月11日木曜日

木が泣く


この秋、短期間ながら森に入ればキノコが採れる――という状態が続いた。で、ときどき山里の森と平地の里山を交互に巡った。そのとき、「木が泣く」のを知った。

「泣く」と感じたのは、いきものの声らしい音が空から降ってきたからだった。見上げたら、杉が隣の杉と接触し、風に吹かれて摩擦を起こしていた=真。

歯ぎしりのような「ギーコ、ギーコ」ではない。子猫のような「ミャー、ミャー」だ。最初、聞きなれない鳥の鳴き声だな、と思った。30年ほど通っている里山だが、その杉林は放置されたまま。密植状態が続いている。それでやせ細ったままの木も多い。その一本だ。

奥山の自然林でも風が強いときには、雑木と雑木がこすれあってギーギーと音を出す。そんなときに森を巡ると緊張する。いや、怖い。「摩擦熱が激しくなっても発火するなんてことはない、と思いつつ、アメリカやオーストラリアでのスケールの大きな山火事を、つい連想する。

接触し、合体してしまったような木もある。見た目はアルファベットの「X」。大蛇のようなフジに絡みつかれた木もある。森の中を仔細に見ると、至る所で木々のせめぎ合いが起きているのが分かる。

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