2010年11月26日金曜日

サケは来たか


若い仲間がわが家に来て、こちらだけ晩酌をしながら雑談に興じた。ときどきそういうことがある。話の流れのなかで「サケが川に上っていないんですよ、沖では捕れているんですがね」という。彼は別に鮭増殖組合の人間でもなんでもない。要は情報通だ。いつもなにか教えられる。

なんとなく了解できた。夏井川を横目に散歩をする。途中にサケのやな場がある。今年はそんなに組合員が出てないじゃないか。やなの下流で投網を打ったり、対岸のいけすからサケを引き上げたりしてないじゃないか。

捕獲はしてはいるのだろう。が、回数が少ないなあ――なんとなくそんな印象を抱いていたのだった。

ただし、それは私が散歩をさぼっているだけだから、あいまいな印象には違いない。が、若い仲間の話を聞いて、印象はだいたい当たっていた。それが、「やっぱり」になったのは翌日の新聞を読んだときだ。

福島民報に「県内河川/サケ捕獲、採卵数激減/放流事業に影響懸念」という記事が載った。若い仲間の言う通りではないか。記事によれば、木戸川は10万匹の親魚捕獲計画数に対して11月18日現在の実績が3万3,087匹、夏井川も捕獲計画数3,500匹に対して実績は1,704匹に過ぎない。ざっと3分の1から半分だ。

なぜだろう。川の水温が高いのか。新聞では、「サケがほかの魚に食べられたり、水温上昇など海洋環境の変化で成魚にならなかった可能性がある」という福島県水産試験場の見解を伝えている。これは大変なことではないか。今年の異常気象どころの話ではない。サケの将来が危うい、という思いを抱いたのだが、見当違いだろうか。

この数日、時間差を考慮しながら夏井川の堤防を歩いている。サケのやな場に人がいるケースが増えた=写真。投網を打つ、いけすからサケを引き上げる、やなを掃除する――。いつもながらのサケのやな場の光景が展開されていた。

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