2010年11月28日日曜日

峰丘カレンダー


おととい(11月26日)、いわき市平のギャラリー「界隈」で峰丘の個展が始まった。宵にオープニングパーティーが開かれた。峰はいわき地域学會の副代表幹事でもある。画家と新聞記者としての付き合いが30年以上、いわき地域学會の仲間としてのつながりも長い。そんな浮世の義理をわきにおいても、久しぶりに面白い個展を見た、という思いがした。

なんだろう、楽しいのだ。同い年の62歳だが、アイデアが枯れない。いや、ますます湧くように出てくる。この画家は還暦を過ぎて、かえって自在に、自由に、描きたいものを描いている――そんな印象を持った。

同い年の人間が遊んでいる、俺ももっと遊ぼう、と思わせる力が作品にはある。峰の作品に自分の明日のエネルギーをもらった。そんなことを明確に感じた。このごろなかった“共感”というやつだ。峰の最高峰になる作品群と言ったら失礼か。

別の言い方をすると、この個展は峰丘の「詩集」のような気がした。全体に流れている、いや漂っている空気に詩情を感じたのだった。

いわきのウミウの生息地として国の天然記念物に指定されている照島がある。月明かりの照島をラピスラズリ(瑠璃色)で描いている。アイデアが枯れないといったのは、この照島に思いを寄せるような視点があって、見る者の心を刺激するからだ。崩れゆく照島への哀惜がここにはある。

お開き後、恒例の「峰丘カレンダー」(3,000円)が参会者に贈られた=写真。年の暮れに近い時期に「界隈」で個展を開き、新作をもってそのまま翌年に打って出る。カレンダーはそのあかしだ。年末に1年で一番仕事が集中するような生き方をしてきた人間には、ひと月早い新鮮な年越しの流儀だった。

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