2010年12月31日金曜日

曲がりネギと一升漬け


紅葉が見ごろになると、田村郡小野町のNさんが夏井川渓谷へやって来て、曲がりネギや長芋、白菜などを直売する。Nさんは、ネギ苗を郡山市阿久津町から手に入れる。「三春ネギ」だ。これについては何度か書いた。

「小野町の直売所にも出してます」とNさん。師走最初の日曜日、渓谷の無量庵から車を飛ばした。直売所がどこにあるかまでは聞いていない。頼りになるのは小野町の和菓子店に嫁いだ小中学校の同級生だ。郡山寄りといわき寄りの郊外2カ所に直売所があることを教えられた。

郡山寄りの直売所をのぞいた=写真。曲がりネギがあった。Nさんのネギではない。レジで「三春ネギか」と聞くと、「いや、須賀川だ」という。須賀川といえば、「源吾ネギ」(千住ネギの合黒系らしい)だ。同じ曲がりネギでも郡山市の阿久津曲がりネギ(加賀ネギ群)とは系統が違う。どちらにしろ小野町では普通に曲がりネギを生産しているようだ。

小野町は中通りと浜通り南部との交通の要衝である。郡山・三春との往来だけでなく、須賀川との往来も濃かったのだろう。「種のくる道」「苗のくる道」は、小野町の場合、郡山・三春だけでなく、須賀川からの道も想定される。小野町の直売所での経験からそう思った。それがまた、阿武隈高地の分水嶺西側の地形や交通の要衝としての位置からして自然なことだ。

直売所では漬物も売っている。「一升漬け」を買った。田村地方ではポピュラーな冬の食べ物だ。作り方は省略するが、シソの実一升、青唐辛子一升、麹(こうじ)一升、醤油一升をカメに入れて漬け込むから、「一升漬け」だとか。あるいは、青唐辛子にナスやミョウガ、キュウリを加えて一升とすることもあるという。

先日もこの直売所を訪ねた。曲がりネギはなく、普通の長ネギがあるだけだった。そのネギのほかに「一升漬け」も買った。先に買った「一升漬け」はミョウガ入り。今度の「一升漬け」はキュウリ入りとナス入りの2種類。キュウリ入りの方が口に合う。シソの実の香ばしさと甘いたまり漬け風味のキュウリの歯ごたえがいい。

さて、この師走は「ネギのくる道」について思いをめぐらせることができた。「一升漬け」にも出合えた。「羅漢ラーメン」のコッテリ系を何年ぶりかで食べた。目的を絞って行くには面白い町だ、小野町は。

0 件のコメント: