2011年1月26日水曜日

大根の渋柿漬け


「たくあん漬けじゃないんですよ」。日曜日夜、県営住宅にある集会所で開かれた区の役員会に、区長さんが大根の漬物を持ってきた。

たくあんは糠漬け。糠の代わりに渋柿の実を使うのだという。たくあん漬けに干した渋柿の皮を使うのはあるが、実を使うのは初耳だ。いわば、大根の渋柿漬け。秋田出身のおふくろさんの味で、区長さんがそれを伝承し、みずから漬けた。

私も糠漬けと白菜漬けを自分でつくる。夫婦二人だけの暮らしでは、白菜漬けは一度に2玉がいいところ。11月から4月まで、2カ月に3回弱、計7回ほど漬ける。

渋柿漬けは熟する前のものをつぶして使うのだそうだ。四つ割りくらいにしてギュッとやるのだろう。二日ほど干した大根の周りにつぶした渋柿を敷き詰める。それを何段か重ねる。もちろん塩をまぶして。そもそもたくあん漬けに干した柿の皮を使うのは、たくあんに甘みを加えるため。渋柿の実も時間がたつと甘くなる。甘みが大根に浸透するのだ。

役員会が終わって、「どうぞ持ち帰ってください」となった。私は欲張って2袋もらった。さっそく、晩酌のつまみにする=写真。たくあん漬けは甘いが、渋柿漬けはほんのり甘みが感じられるていど。それがいい。砂糖とは無縁の、天然の甘味料だ。

そこ(土地)にある素材を生かして、精いっぱいおいしいものをつくろう、という母たちのワザがしのばれる食べ物だった。

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