2011年4月2日土曜日

原発難民⑥


【高原の樹木たち】
国立那須甲子(なすかし)青少年自然の家がある「なすかしの森」は、スタッフが驚くほどの季節外れの雪に覆われていた。私たちがたどり着いたのは3月15日夜。たまたまその日だけ道路に雪はなかった。それで、白河市の県南保健福祉事務所でスクリーニングを受けたあと、ノーマルタイヤでも行ける青少年自然の家を紹介されたのだった。

翌朝起きると、玄関前の広場が雪に覆われていた。わが愛車も雪をかぶっていた。真夜中過ぎに霧が雪に変わったのだろう。

朝の光のなかで初めて、施設の周りに生えている木々を見た。シラカバが林立していた=写真。いわきでは一カ所、芝山(標高819メートル)の頂上近くにシラカバ林がある。いわきのほかのところでは見かけない「北国」の樹種だ。

テレビばかり見ていると気がめいる。しかし、テレビから目が離せない。シラカバに刺激されて、ここはひとつ、樹木ウオッチングをしてみようという気になった。

そのテレビが混乱していた。NHKは「東北関東大震災」といい、民放は「東日本大震災」という。あとで施設に届いた朝日新聞を見ると、「東日本大震災」だ。なぜNHKだけが「東北関東大震災」にこだわるのか。

二つの理由でNHKの呼称に腹が立った。一つは、語呂が悪い。二つ目は、大正12年の関東大震災に意識が引っ張られる。

震災初日はともかく、その後の状況を柔軟な目で幅広く見渡せば、「東北関東大震災」に固執する理由はなかったはずだ。報道責任者の言語感覚を疑わざるをえない。(4月1日、政府が「東日本大震災」と正式に呼ぶようになったから、NHKもそういうふうに呼び方を変えるという「言い訳」をテレビで流した。呼称で混乱を招いた責任は軽くないぞ)

それはさておき、「原発脳」を切り替えて「なすかしの森」の木々をウオッチングした。ハンノキが花穂を垂れていた。事務室前のマンサクが満開だった。焦げ茶色の球果をつけているのはヤシャブシ。アカマツやカラマツもある。

あとで事務室前の図書室で「なすかしの森」関連の刊行物を開いたら、トチ・ブナ・オオヤマザクラ・カエデ・ニワトコ・ミズナラ・ダケカンバも自生していることがわかった。ダケカンバ・シラカンバ(シラカバ)ときたら、植生は北海道や北欧に近いではないか。ダケカンバは標高のより高い那須連峰に生えているのだろう。

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