2011年4月15日金曜日

独り花見


いわき市は4月11、12日と、連続して震度6弱の地震に見舞われた。「3・11」以来の最大余震だ。南部の鮫川流域(田人)に被害が出た。

わが家では、まだ2階は「3・11」のときのまま。本箱から落下した本で足の踏み場もない。今度の6弱でまたまた本が落下した。どうせそうなるだろうと思っていたから、片づけずにおいた。しばらくそのままにしておく。

「3・11」のときもそうだったが、気になるのは夏井川渓谷(いわき市小川町上小川)の無量庵だ。「3・11」のあとは、9日間ほど「原発難民」だったこともあって、出かけるのが3月29日にずれ込んだ。今回は4月13日に出かけた。

タンスの上に小箱を置き、その上に載せておいた置時計が今度も落下していた。もともと安定が悪いのだから、しかたがない。台所ではラップ類が散乱し、ブレーカが落ちていた。茶の間の電球のかさも少しずれていた。総じて「3・11」のときほどではなく、庭の石垣も崩れが拡大することはなかった。

3月29日には、無量庵の対岸の木々はまだ裸だった。半月が過ぎた今は、急斜面に点々とアカヤシオ(土地の人は「イワツツジ」という)の花が咲いている=写真。アカヤシオは、いわきの平地のソメイヨシノとほぼ同時期に開花する。

小名浜にある旧測候所のソメイヨシノが、平年より3日遅い4月9日に開花し、東北地方に春がきたことを告げた。

平の街のソメイヨシノは満開に近い。この週末が見ごろだろう。となれば、夏井川渓谷のアカヤシオもそのころ、満開になる。

例年なら、行楽客が詰めかけてにぎやかなはずだが、「3・11」以来、夏井川渓谷を縫う県道小野四倉線は落石の影響で通行止めのまま。迂回路(国道399号~母成林道~江田)を利用してまで、見に行かなくても……なのか、行楽客の姿はない。

アカヤシオに限ったことではない。草木は、動物は、そこがふさわしい場所だからこそ、そこにある。必要なときに植物は花を咲かせ、鳥はさえずる。行楽客がいようといまいと、自然はそうした営みを繰り返してきた。行楽客がいない分、今年は自然本来の美しさが際立つ――三春ネギの苗床の草むしりをしたあと、独り花見をしながらそんなことを思った。

きょう(4月15日)は磐越東線のいわき―小野新町間の運転が再開される。余震と原発事故で花見どころではないかもしれないが、例年のように徐行運転をしてほしい。乗客はアカヤシオの点描画に目を凝らしてほしい。

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