2011年4月16日土曜日

リサイクル


カミサンの幼なじみの家が間もなく解体される。家はいわき市の中心市街地(平)を望む坂の途中にある。母屋は和風の2階建てだが、道に面した玄関とリビングルーム、書斎は洋風だ。

3月11日の「東日本大震災」で盛り土を支えていた石垣の一部が崩れ、さらに今度の震度6弱で大きく崩れた=写真。庭に亀裂が入り、母屋からせり出した書斎が傾き、リビングルームとの間にすきまができた。風が吹き込み、雨が漏る。で、築後数十年、三代にわたる暮らしを守ってきた建物にサヨナラをすることにしたという。

「断捨離」(だんしゃり)である。とりわけ「捨」と「離」である。必要なものはきょうだいで分け合い、不必要なものは思い切って「捨てる」、モノへの執着を「離れる」――ということで、カミサンにも声がかかった。

カミサンは少し着物を知っている。形見になるもの、リサイクルに回すもの、捨てるものと整理して、リサイクル用の着物を引き取った。そのまま着る人はいないが、現代風の上着に仕立て直したり、パッチワークの材料にしたりと、古着を生かす方法はいくらでもある。私は本箱を二つもらった。

冷蔵庫や洗濯機はどうするか。タンスは、ベッドは? 要らないという。津波の被害に遭い、避難所で暮らしている知人がいる。連絡すると、ベッド以外は要るという。日を決めてトラックを手配し、洗濯機などを運び出すことにした。

未曽有の非常事態である。「3・11」から1カ月余が過ぎて、被災者は「住」を中心にした生活再建への道を歩み始めた。

震災初期には飲み水や食べ物、衣類などが必要だったが、今は家電・家具類などをどう調達するか――被災者は避難所から仮住まいへ、あるいはマイホームへと移りつつある段階に入って、悩み、案じつつある。胸がつぶれそうになるときがあるかもしれない。それに合わせた支援がこれから必要になる。

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