2011年4月20日水曜日

種を採るために


地獄の釜は、蓋は開いても底が抜けては困る。そう思いつつ、夏井川渓谷の無量庵の菜園に立つ。

わが菜園には「三春ネギ」が植わってある。今は郡山市だが、阿武隈川の右岸(東側)、阿久津町で栽培されている「阿久津曲がりネギ」の系統だろう。「阿久津曲がりネギ」同様、お盆のころに植え直して、甘く、やわらかい曲がりネギにする。

週末を無量庵で過ごすようになって15年。暖冬気味だったこともあって、渓谷の春は早めにやってきた。が、去年、今年と厳冬になった。今年はさらに「東日本大震災」が加わった。福島第一原発の事故が人間の春の訪れを遅らせた。

それでも、自然の営みは途切れない。小さなネギ坊主をいただいた花茎が伸び始めた。ネギ苗もこのところの陽気でぐんぐん成長しつつある=写真

苗床は何度か草を引き抜いたので、苗の根元まで光が当たっている。うねの方は手を抜いてきた。ネギの根元が草で覆われている。これでは光合成ができない。どのくらいの放射線が降っているかわからないが、まずは草むしりだ。日曜日(4月17日)はそうして、畑で過ごした。

なんとしても在来作物の種を絶やしてはならない。苗床で成長したネギ苗を、5月には溝を掘って植える。そのあと、採種用に越冬させたネギから種を採る。毎年行ってきたネギのいのちのリレーである。東電に負けていのちの伝達を断ち切るわけにはいかないのだ。

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