2011年4月23日土曜日

渓谷の落石


夏井川渓谷の特徴の一つは落石が絶えないことだろう。岩盤が至る所で露出している。風化してもろくなっているところも少なくない。

V字谷に散在する小集落をつなぐのは県道小野四倉線。無量庵へ通うたびに、と言ったら大げさだが、落石が見られる。小は大人のこぶし大、大はサッカーボール大。急傾斜地は落石を防ぐためにコンクリート吹きつけが行われるか、ワイヤネットが張られるかしている。

「3・11」で落石事故があり、通行止めになった。先日、無量庵のある小集落のKさんとスーパーでばったり出会い、様子を聞いた。

落石現場は、ロックシェッドから上流へ100メートルほど行ったところだ。ワイヤネットで崖を覆っている。そのネットが落石を受け止めて膨らんだ。落石が除去されたあとも通行止めは解除されない。地元の人間は自己責任で通行しているという。

自己責任で県道小野四倉線を通り、無量庵へ行った。何十年前だか、大規模な崖崩れがあったところにロックシェッドが設けられている。そのロックシェッドでやはり崖崩れが起きた。ロックシェッドがそれを受け止め、県道を守った=写真。人体の感覚でいうと、四つん這いになって頑張ってくれたのだなと思う。

通行止めの原因になったところはその先。ワイヤネットが膨らみ、一部で破れていた。落石は除去されていた。とはいえ、ところどころ道端に石がころがっている。余震と並行して落石が今も続いているのだろう。

地元の人間は地震のたびに落石があることを知っている。崖のどこに「浮き石」があるかも知っている。地形を熟知しているからこそ自己責任で往来しているのだ。

(4月23日午前零時25分ごろ。眠りに就いたばかりでグラッときた。目が覚めた。震源は福島県沖。広野町で震度5弱だとか。ここまで揺すられると平気ではいられない。「3・11」以来、トイレのドアが簡単には閉まらなくなった。少しずつ家がゆがんできているのだろう)

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