2011年4月29日金曜日

雑誌届く


一冊だけ定期購読をしている雑誌がある。いつものように、いわき市平字二町目の角忠に注文した。顔なじみの従業員が毎月、バイクで届けてくれる。そろそろ3月号が来るころだが――。雑誌を待っているところに「東日本大震災」が起きた。角忠がペシャンコになった=写真

素人目にも古い木造建築である。狭い空間に本がびっしり並び、その重みで店内がきしんでいるような感じを、いつも抱いていた。最初に入ったのが15歳、今は62歳。この45年余(カミサンはそれ以上)、店内の印象は変わらなかった。建物が全く同じなのだから。

「3・11」以来、1カ月半近くになる。雑誌はどうなったろう、角忠はどうなるのだろうと案じていたところに、従業員が3月号と4月号の雑誌を持って来た。

あの日、店には社長が1人でいた。すぐ逃げ出して無事だった。今は平字紺屋町の教科書営業所(社長の自宅)で営業を続けている。

一時、いわき駅前再開発ビルの「ラトブに入ったらしい」という話が伝わってきたが、ただの風聞にすぎなかった。震災跡地に店を再建するという。角忠の配達システムを利用している人間には心強い再建話だ。

角忠とのつきあいは長い。といっても、いつもバイクで本を届ける彼を通してのつながりだが。

現役のころは複数の雑誌を購読していた。単行本もよく注文した。「こんな本が出ましたよ」と言って、注文もしないのに本を持ってくることがある。それがまた、こちらの読みたくなるような本だから、ついつい引き取る羽目になる。

たかが雑誌だが、届いてみると、気持ちが晴れる。どっこい角忠は生きている。配達システムも健在だ。たくましく再建への道を歩み始めた。注文しない本も、見てよかったら、今までどおり買う。角忠は角忠。それでいい。それを通す。それが再建の本質だと思う。

2 件のコメント:

ねじま さんのコメント...

角忠の読み方は、「かどただし」でしょうか? ネットにはそう出てくるのですが・・・

タカじい さんのコメント...

「かどちゅう」ですよ。