2011年5月10日火曜日

ポンプ空回り


夏井川渓谷には、水道はない。溪谷に散在する集落は、少ないところでは10軒を切る。それぞれの家が独自に生活用水を確保しなければならない。無量庵の水は井戸水だ。隣の東北電力夏井川第二発電所社宅跡に井戸がある=写真。それを借用している。

井戸から無量庵までざっと30メートル。真冬に凍結・破損した水道管を、5月1日に直した。そのことは、書いた。5日に「三春ネギ」苗を定植するために出かけて、水を飲もうとしたら……、ん、一滴も出ない。どうしたのだ。

ポンプ小屋へ行くと、電力本体のモーターも、無量庵のモーターも回っている。無量庵のポンプは空回りして熱を持っていた。管工事業を営む同級生に電話をしたら、「すぐ電源を切れ」とのことだった。

休日で郡山方面へ夫婦で出かけていた同級生が、帰路、夏井川渓谷ルートに変更してやって来た。本体のポンプが回っている。おかしい。水位が下がったから空回りしたのだろう――となって、翌日、東北電力のいわき技術センターを訪ねた。

定期的に巡視する班があって、出かけたあとだった。連絡がとれた。さすがというか、現地でポンプのモーター音に気づいて電源を切った、という返事だった。お互いに一安心した。

「3・11」でがけ崩れが起きたあと、夏井川渓谷の県道は通行止めになっていた。6日、応急工事が始まった。で、「本当」の通行止めになった。電力の井戸ポンプが静かになって2時間後、迂回路を使って無量庵へ出かけた。

無量庵の小さなポンプに「呼び水」を入れて、無量庵と井戸との間を何度か往復しているうちに、蛇口から水がこぼれるようになった。水位が回復したのだ。本体の井戸ポンプの誤作動は、大震災のせいだったのだろうか。

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