2011年5月17日火曜日

田植えずれこむ


例年だと5月初旬の大型連休に集中する「神谷耕土」の田植えが、今年は10日近くずれこんで14、15日に行われた。といっても全部ではない。まだ水が入り始めたばかりの田んぼがある。「神谷耕土」のほかでも、多くはこの土・日に田植えが行われた。

「東日本大震災」に伴う福島第一原発事故の影響で原発周辺13市町村の水稲の作付けが凍結された。しかし、いわきは避難指示区域や計画的避難区域、緊急時避難準備区域以外のために「作付けしても差し支えない」となった。

田おこし作業が遅れているのは、素人目にもわかった。大型連休に入っても田んぼは殺風景のまま。それがここにきてあわただしくなった。畔(あぜ)塗りが行われ、砕土されて水が入れられ、代かきが行われた。

夏井川で言えば、平地の神谷よりやや上流にある小川・柴原のカミサンの親類宅は、土曜日(14日)に田植えを終えた。それよりさらに上流、夏井川溪谷の江田では、無量庵の地主さんが日曜日(15日)に家族総出で田植えをしていた。

親類の家では、「3・11」に小屋がつぶれ、「こて絵」を施された見事な蔵の壁がはがれ=写真、全体がゆるゆるになった。当主は「修繕するにはカネがかかる」と嘆く。小屋に置いたトラクターがおしゃかになった。地主さんの家の古い蔵もがたがたになった。こちらは「解体する」という。両方とも母屋は健在だ。瓦一枚落ちなかった。

1軒1軒仔細に見れば、大地震で全く無傷という家はないのではないか。沿岸部の津波被害と違って、中山間地の農家の被害は見えにくい。総量では相当の被害額になるだろう。

さて、農家は水稲を栽培してこそ農家だ。手をこまぬいてはいられない。親類は10日遅れの田植えを終えてほっとした表情だ。先行きが案じられるとしても、今は稲の生長を見守るだけ。そうでないと、一年を貫く棒のようなものが胸の中からはずれてしまうではないか。

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