2011年6月2日木曜日

いわき総合図書館再開


震災復旧作業のために閉館していたいわき総合図書館が、5月30日、再開した。「3・11」から80日間、調べものがほとんどできなかった。それどころではなかったにしても、図書館閉館はこたえた。ともかく、これで“知の森”へ分け入ることができる。長かった――が率直な感想だ。

図書館はいわき駅前再開発ビル「ラトブ」の4、5階にある。再開初日の朝10時ちょうど、エレベーターで6階に着く。10時になるまで、2~5階にはエレベーターは止まらない。待ちわびていた市民が5階へと下るエスカレーターの前に列をなしていた。

総合図書館の広報紙「YABINA(やびな)」に館長があいさつを載せている。「今回の大震災により市内6図書館すべてで図書資料が落下・散乱し、書架等も破損したほか、総合図書館では照明器具が損壊するなど、甚大な被害を受けましたが、幸いにも当時館内にいた利用者に人的被害はなく、無事に避難させることができました」

ユーチューブに震災時の総合図書館の様子が投稿されていた。書架から本がなだれ落ち、天井の蛍光灯が波打って落下する。利用者も、職員も生きた心地がしなかったろう。

復旧作業を続けていたさなかの4月11日、「3・11」からちょうど1カ月で強い余震に襲われ、再度、ほとんどの本が落下した。また一からやり直し。「賽の河原の石積み」を経ての再開だ。利用者も待ちに待ったが、職員も万感の思いで利用者を迎えたことだろう。

5階から入館する。と、偶然、顔を合わせた職員に地域資料展示コーナーへ案内された。「戦後いわき文芸出版の先駆け 氾濫社と真尾倍弘・悦子」展がこの日を期してスタートした=写真。「最初の観覧者です」。真尾悦子さんは「おふくろ」のような存在なので、利用者としては光栄だ、としかいいようがない。手がけた雑誌、詩・歌集などが展示されている。

別の一角では企画展「いわきの文学者――小説・評論・評伝・自伝編」も始まった。草野心平記念文学館が協力した。

「3・11」前に借りていた本を返し、二、三、調べものをして、新たに震災関係の写真集を借りる。午後に再び図書館へ出かけた。高校生たちであふれていた。

図書館に人が戻ってくると、「ラトブ」も“シャワー効果”でにぎわいを取り戻す。こうして少しずつ、日常の光景が広がっていく。そうあってほしい――と、年を取ってひねこび、かすれ、乾いた人間も期待を膨らませた。

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