2011年6月21日火曜日

孫換算


fujiさんへ。

お知らせいただいた「いわき地区放射能調査報告会」(6月19日午後2時から、小名浜市民会館大ホールで開催=写真)へ行ってきました。ぜひ話を聞いて意見を――ということでしたが、意見を開陳できるほどの人間ではありません。二、三感想を述べます。

講師は福島県の汚染地図づくりに奔走している木村真三さん。はったりのない、率直な語り口から、誠実な人柄であることを実感しました。家が喜多方市山都町にあって、親類も多いということは、山都町出身なんですかね。ともかく、市民のために行動する若い学者がいることは心強いかぎりです。

報告会はいわきの現状を再認識するうえでいい機会になりました。山間部の川前・荻、志田名などは数値が高いが、いわきの大半、たとえば平地の平や小名浜などは安心して暮らしていいこと、などです。科学的なデータに基づいて、その範囲を越えないで知見を述べる姿勢に、大変好感をもちました。

畑の天地返しは汚染を土中に拡散するだけなのでやめる。表土を除去すると数値は下がる――という指摘には、素人の生兵法を反省しました。夏井川渓谷のネギ畑で、2畝ばかり表土を除去せずに溝を掘り(幅10センチ、長さ計数メートル)、苗を植えました。それで、溝の表面の数値は低くなったのですが……。

ネギ畑の大半はネギ坊主から種を採るために越冬したままの状態になっているので、こちらは表土を削り取ることにします。ただ、その土をどこに保管するか。土中深く埋めれば地下水を汚染する心配があることを、木村さんが言ってましたね。埋めなくたっていずれそうなりませんか。現実的な対応として、悩ましい問題です。

5月中旬に開かれたいわきフォーラム‘90の原発事故講演会でも、「野菜は水で洗う」となったとき、「その水が下に流れて来て、オレげの田んぼに入り込むんだ」と、下流の住民が汚染水への危惧を指摘していました。稲作を中心にした地域社会は「水社会」でもあります。最後は海へと流れ込む水環境が問題になるのですね。それは分かっているのです。

質疑応答の中で、内部被ばくの影響が現れるのは20~30年たってから、50歳以上は自分で栽培した野菜を食べても大丈夫、という“お墨付き”には大爆笑が起きましたね。50歳以上は、食べないでストレスをためるよりも、食べておおらかに笑いながら暮らす方がよほどいい、という。その通りです。

ただし、こんな話を20代、30代の親の前ではすべきでないでしょう。次世代、次々世代に鈍感な年寄りのエゴでしかありません。彼らには子どもがいます。幼児は、大人の3倍は感受性が強いといわれていますから、祖父母もわが身の短い将来だけでなく、常に「孫換算」(3倍化)をして、先の長い孫の身になって数値を考える癖をつけねばと思った次第です。

以上、とりとめのない感想でした。 

1 件のコメント:

fuji さんのコメント...

実は私は奥さまのご実家近くの者です。お話聞かれたのですね。報告会は都合で行く予定になかったのですが、どうしても気になって何とか時間を作り行くことができました。
感想を読ませて頂き、自分でも改めて思い返しているところです。次の世代のため自分に何ができるのか、大したことは出来るはずもないけれど考え行動していきたいと思っています。
私も安心安全の基準はつねに“孫換算”で。