2011年7月13日水曜日

転がる擬宝珠


わが住まいのある平中神谷から小川の夏井川渓谷へ行くには、山裾を巡る「小川江筋」(農業用水路)とつかず離れずの道を利用する。大部分は水田の中を走る。

いわき養護学校を過ぎ、交差点を右折して丘の向こうの平商業高校へと坂を超えるあたりに、旧專称寺末の大運寺がある。磐城三十三観音第21番札所「日吉観音堂」もある。地名で言えば、平大室(おおむろ)。

大室を走る道路は段差や陥没、亀裂が目立つ。センターラインをまたいで車を走らせると、間もなく左カーブの坂道になる。右側の丘の上に寺がある。いつからか左側の側溝に転がっている石のかたまりが気になりだした。日曜日(7月10日)早朝5時過ぎ、車を止めて確かめた。石灯籠の擬宝珠だった=写真

側溝の反対側、大運寺の入り口に石灯籠の笠や火袋、中台、竿などが転がっていた。「3・11」か「4・11」ないし「4・12」かに倒壊したのだろう。そのとき、てっぺんの擬宝珠が坂道を転がり出して側溝にひっかかったのだ。大きな石灯籠である。

写真を撮っていたら、競輪選手かと見まがういでたちの男性がロードバイクに乗ってやって来た。急に自転車を止めて話しかけてくる。旧知の、そして夏井川堤防でときどき出会うページデザイナー氏ではないか。「このごろ、堤防で会わないから、病気でもしたのかと」「いや、6時半ごろになると、もう暑くて、暑くて。寝坊すると歩く気にならないんだ」

彼は毎朝5時には、自宅(平窪)を飛び出して夏井川河口まで自慢のロードバイクをこぐ。大室で彼とすれ違ってわかった。コースはこうに違いない。平窪~中塩(平商業高校前)~大室~鎌田(夏井川堤防)~河口。帰りはその逆ルート。堤防で会うのは彼の帰路だ。

おととい(7月11日)朝5時半すぎ、夏井川堤防に出ると、彼がやって来た。河口へと向かうところだ。コースを聞くと、前日の大室での遭遇から推測したコースと同じだった。往復24キロ。それを約1時間でこなす。太めの彼にはいい“修行”ではないか。

ロードバイクを買った以上は眠らせておくわけにはいかない。「高い買い物をして」と奥方になじられる。意地でもバイクを漕いでいるうちに河口への往復が習慣化したようだ。

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