2011年7月28日木曜日

震災モノ


知人を訪ねて豊間・薄磯・高久と回ったのは、先の日曜日(7月24日)。

豊間と薄磯は、防波堤沿いの道を通った。豊間では、防波堤が破壊されたあとに土嚢がびっしりと並べられていた。大地震で地盤が沈下したために砂浜が消え、すぐそばまで波が押し寄せていた=写真。海がしければ波しぶきが防波堤を超えるのではないか――そんな心配がよぎるが、今は、人は住んでいない。薄磯もそうだ。無人の荒れ野と化した。

豊間から内陸の高久に疎開した友人の甥っこのことを思いだす。新舞子浜の防風林と水田をはさんで海と向かい合っている集落、それが高久。その一角に友人の家がある。高久は、津波の被害は免れた。友人の家の書庫を利用して、甥っこが酒の小売店を開いた。看板は出していない。

豊間の集落で酒の小売店を経営していたのが、3・11でダメになった。建物はかろうじて残っているが、住める状態ではない。震災で残った酒類を回収し、書庫を仮店舗にして商売を再開した。焼酎でも買おうかと、友人の家の仮店舗を訪ねた。

友人は留守だったが、店主はいた。何年ぶりかの再会だ。「焼酎を」というと、「<震災モノ>です」と、芋焼酎の四合瓶を見せる。一升瓶はないようだ。そこへカミサンが「缶ビールを」と、自分の方に話を引き寄せる。焼酎はあきらめた。

3,000円相当の缶ビールを買ったら、先の焼酎をおまけにどうぞという。ありがたく<震災モノ>をちょうだいする。大災害に生き残った逸品だ、そう簡単には飲むわけにいかない。しばらく部屋に飾っておくことにした。

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