2011年7月29日金曜日

北欧スペシャル


BSプレミアムで「北欧スペシャル」が始まった。折しも、ノルウェーで爆弾・銃乱射連続テロ事件が起きた。

日本の新聞・テレビは3・11以後、「原発震災」をトップで扱ってきた。そうしたなかでテロ事件がトップニュースになった。中国の新幹線事故もトップだった。それほどの衝撃性・異常性があったということだろう。

2年前に同級生の病気見舞いを兼ねて仲間数人で北欧三国を旅行した。「北欧スペシャル」は、いわば旅の思い出をよみがえらせる魔法の杖。「原発震災」の渦中にいる人間にとっては、ノルウェーの痛ましい事件を承知しながらも、しばし現実を忘れさせてくれる爽快な番組だ。

<ぐるっと北欧5000キロ>(7月26日前編、27日後編)はノルウェーの北極圏にある港町からスカンディナビア半島の西海岸を巡り、バルト海に入ってフィンランドの港町に至る船旅を伝える。日本の若い女優が旅の案内人を務めた。

氷河が大地を削り、そのあとに海水が入って深く長い入り江=フィヨルド=ができた。その地形と凍らない海がバイキングを生んだ。ノルウェーの第二の都市ベルゲン、世界最長のソグネフィヨルドが映し出される。2年前、その町に立ち、その最奥部、世界自然遺産のネーロイフィヨルドを巡った。フィヨルドの圧倒的な存在感がよみがえる。

バイキングの船は美しい。手漕ぎボートが登場した。若い女優がオール(櫂)をこぐ。軽い。速い。不意に、スウェーデンのストックホルムにある「ヴァーサ号博物館」を思い出す。

1628年、処女航海に出ようとした軍艦ヴァーサ号が港を出ないうちに突風を受けて沈没した。ガイドさん(日本人)の説明では、大砲などを備え付けすぎてバランスが欠けていたために、横風一発でグラリとなった。1956年、海洋考古学者が発見し、1961年に引き揚げられた。今やストックホルムでも人気の観光スポットだという。

全長62メートル。船尾には彫刻が施されている=写真。軍艦にしては過剰な装飾だ。その過剰性がまた、尋常ではない船のイメージをかきたてる。テレビを見ながら、そんなことを思い出した。

きのう(7月28日)の夜は<スウェーデン鉄道の旅>を見た。「自然享受権」(人々は所有者の許可なく森や野原、島などに入ってキノコ狩りや草木の実採取ができる、ただし「私有地につき立ち入り禁止」の表示のある場所や個人住宅の庭などはダメ)を楽しむ人々がいる。就学前の幼児の自然教育「ムッレ運動」も紹介されていた。

これからの日本のあり方を考えるとき、「小さくとも心豊かな国」の北欧のイメージが湧く。

0 件のコメント: