2011年10月12日水曜日

キノコよ、キノコ


6月にマメダンゴ(ツチグリ幼菌)を食べた話を書いた。先週(10月8日)、50歳を過ぎたというKazeさんから、それに関してコメントをいただいた。

「川前ではマンマイダンゴとよぶ。新ジャガとマンマイダンゴとキヌサヤ。この味噌汁を食べないと、その年の、その季節が来たような気がしない」

もうずいぶん昔のことだが、川前発のゆうパックを取り寄せたことがある。マメダンゴと新ジャガと絹サヤのセットだった。当然、味噌汁にして食べた。同じ阿武隈高地のわがふるさと・田村市常葉町でも同じようにして食べるので。

マメダンゴご飯にする手もある。放射性物質が降りそそいだのを承知で、夏井川渓谷の無量庵の庭に埋もれていたマメダンゴを掘り出し、よく洗って炊き込みご飯にした。食べたくて、食べたくて、どうにも我慢できなかった。後日、実家に帰ったら、兄夫婦も、その知り合いも我慢できずに一度だけマメダンゴご飯を食べたという。

夏井川渓谷は、磐城森林管理署の測定で籠場の滝の向かい山=写真=の空間線量率(地上100センチ)が平均0・35マイクロシーベルト/時。わが無量庵の庭は雨樋のミニホットスポットを除いて0・28~0・45マイクロシーベルト/時。マメダンゴはその庭の、苔むした地面の下で成長しつつあるものだった。

Kazeさんはチチタケについても伝える。「チチタケとナスの炒め物。あれを食べないと、その年の夏が来たような気がしない。でも、それは、思い出の世界になってしまいました」。チチタケの分析結果が出たという。セシウム134が1520ベクレル、同137が1970ベクレル、合計3490ベクレル/㎏。暫定基準値の5~6倍だ。

月遅れ盆の前にチチタケを採ってナスと炒め、濃い目の醤油味にする。これに水を加えて加熱すると、得も言われぬスープになる。ダシはいらない。チチタケ自身がいいダシを出す。わが家に来た外国人女性にチチタケうどんをふるまったら、絶賛した。チチタケうどんは最高の「ジャパニーズヌードル」だ。

マメダンゴを一度食べたほかは、今年は野生キノコを口にしていない。開き直って食べてもかまわない年齢だが、わざわざそこまでする気にもなれない。マメダンゴ以外は我慢、我慢――とはいっても、いつまで? 何十年も? 山里の菌食文化は破壊され、マチ場の愛菌家の楽しみは奪われた。

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