2011年11月18日金曜日

地ネギを買う


遠出した際に道の駅や直売所に寄ると、ネギを探す。その土地のネギがあれば、味をみるために買う。

今度の会津行では、大内宿で一本太ネギを買った。大内宿にはネギを箸代わりにしてそばを食べさせる店がある。それとは別の店の軒先に並んでいた。「甘いか」と聞けば、「甘い」という。10本入りで300円だった。

会津伝統野菜に「会津地ネギ」がある。白根は30センチ足らず、まっすぐで太く、甘みが強いという。会津地域一円で栽培されているそうだから、大内宿の一本太ネギも「会津地ネギ」に違いない。

ネットで検索すると、箸代わりのネギはまっすぐなものばかりではない。「曲がりネギ」もある。大内宿は「一本太ネギ」と「曲がりネギ」の栽培文化が交差する地域に位置しているのだろうか。大内宿の「ネギロード」が気になる。

田村市船引町の磐越道阿武隈高原サービスエリアでは、船引で栽培された「曲がりネギ」を買った。郡山市の「阿久津曲がりネギ」と親戚、いやたぶんルーツを同じくする「三春ネギ」そのものと言ってもよい。

冬になると、いわきのヨークベニマルにも「阿久津曲がりネギ」が入荷する。ときどき買いに行く。甘く、やわらかく、とろみがある。このへんが地ネギ度をはかる物差しになる。

さて、「会津地ネギ」と船引の「曲がりネギ」=写真=の味は? まずは味噌汁だ。どちらも加熱すると甘くなる。やわらかい。とろみは、そんなには感じられなかった。同じ味噌汁でも、豆腐よりジャガイモとの相性がいい。「三春ネギ」もジャガイモとよく合う。

土は大丈夫だったのだろうか。農業に誇りと愛情を持って取り組んでいる人ほど、原発事故に強い怒りと不安を抱いている。週末だけの、ままごとのような家庭菜園でも事情は同じ。家庭菜園の楽しみは奪われた。

「三春ネギ」は自家採種をして栽培してきた。「自産自消」である。種を絶やしたら「自産自消」のサイクルは断ち切られる。

「食べる」のは、買えばできる。しかし、地ネギだから種は売っていない。「三春ネギ」の種を採る(残す)ためだけに、今年は栽培を続けている。原発事故に負けてはいられない“あかし”として。そんな思いと怒りがまたわいてきた。

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