2011年12月1日木曜日

白鳥おじさん


平・塩地内で行われていた夏井川の河川拡幅工事が終わった。中洲が消え、ヤブや畑が消えて、見晴らしのいい空間が広がる。昼は主にここでハクチョウやカモたちが羽を休めている。

そのハクチョウたちに毎朝、「白鳥おじさん」ことMさんがえさをやる。自宅は対岸の山崎。奥さん同伴で軽トラでやって来る。

朝7時前、私が夏井川の堤防天端を歩いていると、向こうからえさやりを終えたMさんが戻って来る。すれ違う段になって軽トラを止め、Mさんが“報告”する。「まだ落ち着かない」「呼ぶと寄って来るんだ」「100羽ぐらいかな」「多くなってきた」。短いフレーズながら、ハクチョウたちの様子がよくわかる。

Mさんがハクチョウにえさをやるようになってから10年はたつのではないか。途中からは、翼をけがして飛べなくなったコハクチョウのために、毎日、えさやりに通った。1羽の残留コハクチョウが2羽になり、やがて3羽になって、3羽とも何かに襲われて姿を消すと、また冬場だけのえさやりに戻った。

鳥インフルエンザが取りざたされ、市役所から「ハクチョウにえさをやらないで」と言われたことがある。Mさんは怒った。残留コハクには名前が付けられていた。「左助」「左吉」「左七」。「左助」らに手のひらを返すようなことはできないと、「いのちがけ」でえさやりを続行した。

きのう(11月30日)、用を済ませた帰り、夏井川の堤防に出て、新川との合流地点で休んでいるハクチョウたちをウオッチングした。北からやって来たマガモも、留鳥のカルガモも交じっている。

と、カルガモが悲鳴を上げた。コハクチョウがカルガモの尾羽をくわえて水に引き込もうとしている=写真。カルガモはたたまらず羽をばたつかせ、逃げようとするのだが、コハクは簡単には放さない。気性の荒い個体らしい。そばにいる仲間もつついて追い払おうとする。

これだけ寄り集まっていると、ストレスをためる個体もでてくる。毎日見ているMさんには、どれが荒々しくてどれがやさしいのか、よくわかるのではないか。

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