2011年12月9日金曜日

正断層


おととしの秋、北欧3カ国を駆け足で巡った。とりわけノルウェーのフィヨルドには感動した。現地に住む日本人がガイドをしてくれた(もちろん有料)。フィヨルドがらみで今も忘れられないことが2つある。

海岸部に架かる橋の脚の細さが1つ。ノルウェーは地震が少ない。橋脚の耐震性をそんなに考慮しなくてもいいということだった。若い人は分からないかもしれないが、「ミニスカートの女王」といわれたツイッギーの足を思い浮かべた。

もう1つは、国土が毎年少しずつ隆起していること。分厚い氷河の重みで圧縮されていた大地が、氷河がなくなり、つまり重しが取れたことで、元に戻ろうとしているのだという。<ああ、せいせいした>といった感じで岩盤がふくらんでいるわけだ。

U字谷=写真=が隆起を続けているという、地質学的時間を想像してみる。ついでに、地球の地殻の動きに思いをはせてみる――なんてことは、去年まではなかった。

4月11日にいわき市で最大震度6弱の直下型地震が起きた。翌日も最大6弱の余震が発生した。いわき市南部にある塩ノ平断層(井戸沢断層の最も西側)と東隣の湯ノ岳断層がほぼ同時に動いたとされる。「正断層」地震だった。

3・11の地殻変動で東北地方の大地が海の方へずれこんだ。海側からの圧力がそがれただけでなく、海側へと引っ張られる力がはたらいて、4・11にいわきの2つの断層が動いた、ということになる。

相撲にたとえれば、力士ががっぷり四つにくんでいた(逆断層)のが、東の土俵のへりが一気に崩れたために、互いに一歩すさった状態(正断層)になった――というイメージか。

ノルウェーの大地の隆起を地質学的時間で想像するのと同じく、いわきの直下型地震を地質学的空間で想像すると、そのメカニズムがなんとなくわかってくる。いわきの東にある双葉断層が動いたら? 考えただけでこころが凍りつく。

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