2012年1月3日火曜日

草をはむハクチョウ


そうか、そうなのか――。ハクチョウの生態についての話だ。えさをあげるMさんの話をこの欄でときどき取り上げている。が、ハクチョウもまた自分たちで食べるものを探している。人間に頼りきりではない。それを知ったための「そうか、そうなのか」だ。

外来資本の「元日初売り」とは別に、昔からの「2日初売り」でいわきの経済が動き始めたきのう(1月2日)。いわき駅前再開発ビル「ラトブ」の開店と同時に、いわき総合図書館へ本を借りに行った。その帰り、夏井川の堤防に出てハクチョウを見た。

ハクチョウたちは岸辺から堤防へと集まっていた=写真。なぜ岸辺からここまでやって来たのか。しばらく見ていてわかった。土手の草をついばんでいたのだ。Mさんがパンの耳やクズ米を与えても、200羽近いハクチョウたちの胃袋は満たせない。でも、それでいいのだ。えさの自力調達能力にまかせることが第一なのだから。

人間の与えるえさに頼らない生き方。それが本質。足りないところをMさん夫婦がカバーする。

実はきのう早朝、散歩途中で軽トラのMさん夫婦と会った。7羽のグループが対岸の空を旋回していた。それを一緒に眺めた。

山際に沿ってぐるぐる飛びながら、舞い降りるかと思えば上昇し、上昇したかと思えば舞い降りる――。Mさんが言った。「親が訓練してんだな」。なんとなく納得できる物言いだった。

それからわずか3時間余あとの「草はみ」だ。自分で食っていかないといけない。しかし、原発震災でそれがかなわなくなった人がいる。「翼を持った隣人」から避難生活を余儀なくされている人間へと、どうしても思いが転がっていく。

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