2012年1月23日月曜日

北茨城からの海景


カミサンが北茨城市の茨城県天心記念五浦美術館へ行きたいという。「遠き道展――伝統からの飛躍 日本画のゆくえ」が開かれている。気分転換なのだろう。ここは言うことを聞いておかないと。

日曜日(1月22日)。山はうっすら冠雪していた。平地は雨あがりのような、まだ降り足りないような。一日、空は鉛色の雲に覆われ、時折、雨が車のウインドーを濡らした。

美術館に入る。エントランスロビーから常設展示の岡倉天心記念室を過ぎて企画展示室に向かう途中、ガラス張りの通路越しに勿来の海が見えた。一番右側に張り出しているのは小名浜の三崎か、その北にある塩屋埼灯台の豊間か。霧のような雲が稜線と平地の間にたなびいていた=写真

常磐共同火力勿来発電所に向かって海岸が湾曲している。小名浜、豊間はその右奥、断崖が海に屹立している。この陸地に向かって大津波が押しよせたのか――急に胸底からわき上がるものがあった。鳥の目で見る怖さだ。

美術館のある北茨城市そのものが大津波に襲われた。美術館の近く、崖下の六角堂は津波で流失した。隣接するいわきは、南部だけでも錦須賀が津波に襲われ、火発が襲われ、その先の岩間、小浜が壊滅的な被害を受けた。火発は昨年末、やっと震災前の供給体制に戻った。

美術館は崖の上にあるから津波被害には遭わなかったが、大地震でダメージを受けた。津波が崖にぶち当たったときにはものすごい音がしたと、誰かが言っていた。昨年11月1日に再開した。3・11以来、およそ8カ月ぶり。私たちが足を運んだのは……、調べたらおととしの12月以来だった。

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