2012年1月30日月曜日

昔野菜


昨年秋にいわき市川前町のブドウ園で「フジミノリ」を買った。屋根に覆われているから放射能は検出されない。半分を冷凍庫に入れておいた。正月三が日に食べようという魂胆だ。忘れていて、中旬になってから口にした。

冷凍ブドウ=写真=は皮がつるりとむける。果肉はシャーベット状。ひんやりして甘い。「種なし」がみそだ。

川前出身の人が大阪でブドウを栽培し成功した。ふるさとへの恩返しを兼ねて川前にブドウ園をつくった。そのブドウだ。新しい「地産地消」である。

昔からの「地産地消」もある。伝統野菜(在来作物)といわれるものだが、これは個々の家庭で自家採種(あるいは株分け)をし、栽培し、消費をする「自産自消」が大半だろう。いわき市は一昨年、初めて伝統野菜の調査をし、その成果を昨年、『いわき昔野菜図譜』にまとめた。21種の「昔野菜」が紹介されている。

昨年1月下旬に「いわき昔野菜フェスティバル」が開かれた。今年も先日、同じ会場(中央台公民館)で2回目のフェスティバルが開かれた。

3・11で大打撃を受けた農林水産業だが、昔野菜はかろうじて生き延びた。事業2年目。種・株を確保し、栽培・消費を拡大するための施策が行われたからだ。

たとえば、ワサビダイコン。川内村に近い川前町で栽培されている。いわき市内で唯一、高い放射線量が検出された。「自産自消」から「地産地消」へ――という流れのなかで市が事業を展開したために株が残った。結果的に保存のバックアップができた。

昨年のフェスティバルは、とにかく味わってください――だった。今年は種をさしあげます――である。

昨年食べたものはなんだったろう。自分のブログで確かめた。試食に供されたのは、おかごぼう(まぜごはん)・白じゅうねん(ぼたもち)・むすめきたか(小豆=おはぎ)・昔きゅうり(どぶ漬け)・千住一本ねぎ合柄(いわき一本太ねぎ=焼きねぎ)など14品。そのうち9品を口にした。

『いわき昔野菜図譜』に前文を書いたこともあって、今年も昼、生産者と直売所のスタッフが持ち寄ったおかずのお相伴にあずかった。大久・日曜市のおこわ、三和町の昔きゅうりのどぶ漬け、その他。たまたま隣にはメーンの講演会講師、江頭宏昌山形大准教授がいた。学者・生産者と話をしながら食べるという、しあわせな時間をすごすことができた。

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