2012年2月12日日曜日

どこへ飛んでいく?


新舞子海岸からの帰り、夏井川右岸の堤防で前方上空を渡るハクチョウを見た=写真。等間隔に5羽、少し離れて1羽、計6羽の群れだ。朝8時。どこへ行くのだろう。楢葉の大堤だろうか。

毎朝7時前、Mさん夫妻が平・塩地内の夏井川でハクチョウにえさをやる。そのころからしばらくの時間、ハクチョウたちが神谷の上空を行き来する。日中は河口部その他にちらばって休むグループが多いのだ。

その一群だろう。大きな風景のなかを群れ飛んでいく――偶然めぐってきたシャッターチャンスだった。後ろにそびえる三角形の山は三森山(みつもりやま=大久)。

ハクチョウは体が大きいから目につきやすい。人間に慣れているので、写真にも撮りやすい。冬鳥の代表格だ。が、ほんとうは庭に来る冬鳥を写真に撮りたい。たとえば、ジョウビタキ、ツグミ。

鳥の姿を頭のスクリーンに映しながら、はたと思った。この冬はまだツグミを見ていないぞ。その翌日だった、夏井川の堤防でツグミと出合ったのは。

ある新聞記事が目に留まった。「鳥の数が減少 第一原発周辺/放射性物質影響調査 寿命短く、生殖能力低下」。2月3日付の英紙インディペンデントに載った記事の要約を、共同通信がロンドン発で伝えている。

「日米などの研究チーム」の調査によって、チェルノブイリ原発周辺より「福島の方が生息数への影響が大きく、寿命が短くなったり、オスの生殖能力が低下したりしていることが確認されたほか、脳の小さい個体が発見された」。DNAの変異の割合が上昇、昆虫の生存期間が大きく減少するなどの影響も見られた、という。

いつ、どういうふうに調べたのかは書かれていない。が、3・11からまだ11カ月。鳥の交尾・産卵・孵化は基本的に一回きりだろう。なのに、随分詳細な知見が得られたものだ。寿命が短くなった? 昆虫の生存期間が大きく減少した? 調査が始まったばかりでそこまでわかるものなのか。ネット上にも疑問の声が上がっている。

長年調査が続けられているチェルノブイリ原発の周辺なら、ほかの地区と比較してそういうふうになるかと納得もするが、福島での初の調査にしてはいろんなことがわかりすぎる。それほど急激に甚大な影響がおきた、ということなのか。誤報、いや特派員が英紙を誤読した可能性はないのか。しばらく頭の隅において探り続けようと思う。

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