2012年4月20日金曜日

ハトの愛


朝の散歩のとき――。同じルートを巡るだけだが、発見がある。花が咲きだした。いのちの発見は驚きと喜びと元気の素(もと)をくれる。「野菜を盗るな」。そんな立て札を発見することもある。正も負も含めて発見があるから、散歩をやめられない。

高速バス駐車場の出入り口に作業服姿の人形が立った。その前を通るウオーカーは驚き、喜び、そしてニヤリとした。予想もしないことが目の前に現れる。事故でもないかぎり、人間がやったこと、あるいは動植物が演じたことが、好奇心を刺激する。

6号国道常磐バイパスの終点、夏井川橋のたもとでときどき、ドバトが休んでいる。ある朝、のどを鳴らしてくちばしとくちばしを交互に触れあっていた=写真

ロバート・バーンズの「故郷の空」は、なかにし礼さんの手にかかると「だれかさんとだれかさんが麦畑、チュッチュチュッチュしている いいじゃないか」になる。その歌を連想させる、みごとな“くち(ばし)づけ”だった。

ネットで調べたら、ハトの愛の行動らしい。もともとハトは目が赤い。そのために血走ったわけではない。が、向き合って、愛を確かめて、種の保存行動に及ぶ。かわいいものだ。

橋の手前、国道6号のそばにバイパス終点ののり面を利用した「草野の森」がある。いわきの潜在植生である照葉樹の苗木を植えたのが、順調に育った。ウグイスがすみつき、「ホー、ホケキョ」をやっている。ウグイスの愛のすみかになるほど、森らしくなったということだろう。

ドバトやウグイスだけではない。カルガモ、ハクセキレイ、スズメ、キジ……、みんな愛の生活に忙しい季節を迎えた。

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