2012年5月22日火曜日

暗くならなかった


「金環日食」というからには、朝なのに一時的に「たそがれ」になるのかなと思ったが、そうではなかった。空気はひんやりとしたものの、なんとなく光が弱まったかな、という程度だった。

「日食グラス」を買い忘れた人間は、空を見上げるわけにはいかない。ならば、地上の鳥たちの様子を見てみよう――オオヨシキリが鳴き交わしている夏井川の堤防で7時台を過ごした。が、これといった変化はみられなかった。帰ってトイレに入ったら、窓から差し込んだ木漏れ日がいくつも「三日月」になっていた=写真

いわきで金環日食が観測されたのは、7時30分台後半。そのころ――。①7時7分、オオヨシキリ盛んに鳴く②7時23分、やや光が減衰する。オオヨシキリの鳴き声に変化はない③7時40分、オオヨシキリは鳴きやまない。しきりにキジが鳴く④7時50分、光の量が戻りつつある。オオヨシキリ鳴き続ける――。

実は7時前、いつものように夏井川の堤防を散歩した。わが家の近くで、日食グラスを手にする人とすれ違った。最近、同じ場所で会うのであいさつをするようになった。「始まりましたか」。思わず声をかける。「リンゴをガブッとかじったような感じ」と言いながら、日食グラスを貸してくれた。<おお、アップル社のマークだ!>

出遅れて、日食グラスを買い忘れて、おてんとさまを見られないとあきらめていた身には、思いもよらない「眼福」だった。3・11以来、これほど夢中になれる時間はあっただろうか、なかった。「リング」まではいかなかったが、「リンゴ」を見た。それで十分だった。

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