2012年5月24日木曜日

石森山へ


物心づいたころから、町(現田村市常葉町)の裏山の雑木林で遊び回っていた小学校に入学するより早く山学校に入学した、と思っている。10代後半からは意識して雑木林の中へまぎれ込むようになった。いわきで職を得たあとは休みの日(後年は昼休みも)、職場と自宅から近い石森山=写真=へ車を走らせた。

20代後半からおよそ20年間、石森山を丸かじりするように歩き回った。わが子をたたきおこして野鳥観察に連れだすこともあった。

で、石森山の野鳥・野草・菌類については少し語れるようになったかもしれない。が、地質・地形、あるいは花・鳥・キノコ以外の生物は、となるとよくわからない。いずれにせよ、石森山は平のマチの人間の里山だ。アウトドア派を引き付ける。生活環境保全林として遊歩道などが整備されていることが大きい。

ほぼ1年前の早朝、夏井川渓谷にある無量庵へ行った帰り、石森山の林道を通った。キジとリスがいた。先月も同じように石森山を経由したら、山菜を採りに来たと思われるおばさんたちがいた。里山ゆえの光景だ。

3・11後、夏井川渓谷であろうと、石森山であろうと、まともに森を巡ったことがない。フラストレーションがたまっている。森の中に身を置きたい――という気持ちが抑えきれなくなって、先日、石森山へ出かけた。

石森山の遊歩道は10コース、計11キロ。軸になるのは「せせらぎの道」だ。おわんで言えば、へりから底へとゆるゆる下っていく。底で「さえずりの道」が、次いで「マンサクの道」が合流する。「せせらぎの道」を歩いた。鳥のさえずりに慰められた。

新緑の「野鳥の森」だ。原発事故がなかったら、5歳の孫に遊歩道めぐりを体験させていたかもしれない。が、今はそれが難しい。雑木林の価値・意義をどう孫たちに伝えたらいいのか。これだけは口で言ってもわからない。

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