2012年6月30日土曜日

古書通信


3カ月余り前、3月中旬のことだ。ネット古書店を経営する若い友人が「日本古書通信」=写真=の編集者とわが家へやって来た。編集者は福島県出身の女性。東日本大震災からちょうど1年。書物の森をさまよっている人間としてインタビューを受けた。

この1年、ブログに書いてきたこと、つまり見たり聞いたり、かかわったりしたことを話した。それが、「日本古書通信」の今年の5月号、<震災後1年レポート――福島、宮城の古書店界(上)>のなかに挿入された。

編集者は震災後の昨年4月上旬、オートバイを駆って被災地の福島県をめぐった。同誌の昨年5月号に、そのルポ記事<東日本大震災と古書店――被災地 福島を訪ねて>が載る。

同じ5月号に被災地の「読者からのお便り」も載った。いわきの知人2人のコメントが胸に突き刺さった。1人はいわき地域学會の先輩、もう1人は古書店の平読書クラブ。平読書クラブは「地震により本棚倒れ、本が散乱、家屋ひび割れ要修理、加えて原発の不安で心休まらず休業中です」。1年たった今も事情は変わらないようだ。

平読書クラブへは10代後半に通い始めた。最初は読みたい本を探す、やがて金がないから本を売る――。店の奥に鎮座しているオヤジさんと知り合いになり、ときに代役のオバさんとも顔見知りになった。東京へ飛び出し、4年後にJターンをして新聞記者になった。会社は平読書クラブの3軒隣。毎日のように、昼休みに店へ寄った。

<震災後1年レポート>の私の記事に関する最後の部分。「ご夫妻の出会いの場は平読書クラブさんだったそうで、こんなところにも古書店の人を繋ぐ力を感じる」。カミサンはそんなことまでしゃべったのかと、おかんむりだったが。

さて、オヤジさんとは45年のつきあいになる。別の場所にビルを建てて引っ越してからは、足が遠くなった。若い友人によれば、オヤジさんは先日、福島県古書籍商組合の代表を辞した。当たり前のことながら、年は平等に取る。このごろ、ときどき顔を思い浮かべては、売ったり買ったりした本のあれこれを思い出している。

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