2012年8月7日火曜日

灯まつり


田村市常葉町へ――。いわき市平から夏井川渓谷(小川)を経由して川前の山里へ駆け上がるルートをとる。やがて川内村を抜け、田村市都路町古道(ふるみち)=写真=に入れば、国道288号を西進するだけ。20分も行けば実家に着く。

郡山市と双葉郡双葉町を東西に結ぶ「288(ニーパーパー)」は、私には幼いころからなじみの街道だ。原発事故が起きてからは、マスメディアやフリーの記者たちが利用する“原発ロード”になった。原発震災本にはこの3ケタ国道がちょくちょく出てくる。すっかり有名になった。

この山越えルートを利用すると、国道288号とは古道のメーンストリートの交差点を右折したところで出合う。交差点に交通誘導員らしい人が二人立っていた。反対側に小学生もいる。いつもは人っ子一人いない道路だけに、なんとなくざわめいた感じがする。なにかイベントがあるに違いない。

あとで知ったが、集落の一角でその夜、2年ぶりに「都路灯(ひ)まつり」が行われた。1万本の竹筒にロウソクの灯をともす、新しいイベントだ。本来の開催場所は集落からかなり西の山に入ったアウトドア施設だが、原発事故がそこでの開催を困難にした。

都路町は、福島第一原発からほぼ20~30キロ圏の緊急時避難準備区域に当たる。今はそれが解除されたが、除染が進んでいない。で、除染の済んだ都路運動場(メーンストリートの近くにある)に会場を変えて「灯まつり」が行われた、というわけだ。

点灯に先立ち、キッズダンスや大泉逸郎特別公演、お楽しみ抽選会などが行われたようだ。私が車でメーンストリートにさしかかったころには、大泉さんが「孫」の歌でもうたっていたのではないだろうか。

わが父母の、その父母の、そのまた父母たちの墳墓の地、阿武隈。そこに、くじけない心の燠(おき)がともされた。

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