2012年9月22日土曜日

ベトナムのバイク


ハノイのノイバイ空港からわれら一行10人を乗せたマイクロバスが、およそ150キロ東にあるハロン湾へとひた走る。空港を出るとすぐ目に飛び込んできたのは、あおあおとした水田、そして道を行き交うバイクだった。

ちょっとした町に入ると急にバイクの数が増え、夕方にはバイクが道を埋めるようになった。翌日、ハノイ市内へ戻ったときに、ベトナムはバイク天国であることを知った=写真。クモの子が集まるようにバイクがあふれ、流れる。

おととし(2010年)秋、台湾を訪れたときにも同じ感想を抱いた。台湾ではスクーターが庶民の足になっていた。司馬遼太郎は二輪車が「曲芸のように車と車の間を縫い、交通信号はゆるやかにしか守られていない」ことを目撃する。信号待ちをしていたスクーター族が一斉にスタートする様子は壮観だった。

ハノイの場合はホンダのスーパーカブ、これを基本にしたスポーツタイプのバイクが多いということだった。台湾と違ってほとんどの人がマスクをしている。粉塵対策だろう。

バイクに豚を3匹積んで走るような人もいるらしい。露店で売っている絵はがき(写真)にあった。畳2枚分はあろうかというボードを積んだ人、ノーヘルメットの5人乗り(女性2人、幼児3人)も目撃した。こちらが冷や冷やするような運転だが、不思議と接触しない。あうんの呼吸でブレーキがはたらくようなのだ。

ガイドさんが道路を横断するときの注意点をのべた。「走らないでください」。見れば、車とバイクの洪水のなかを、歩行者が横断しては立ち止まり、立ち止まっては少しずつ横断している。それも、横断歩道ではない場所を。

私らは日本人だ。横断歩道をみんなで渡る。信号はないが、みんなで渡れば怖くない――それを実感した。

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