2013年2月12日火曜日

佐藤まちこ展


いわき芸術文化交流館「アリオス」の2階「アリオス・カフェ」で2月いっぱい、知人が作品展を開いている=写真

「カラス1948 佐藤まちこ展」。「カラス1948」ってなに?なんて考え始めるときりがない。ここはただ作品と向き合うだけ、と言い聞かせる。

3年前に娘さんと花屋を始めた。作品がドライフラワーのリースかアレンジメント風なのはそのため。しかし、もともと絵を描いてきた人間だ。アレンジメント風にしても美術家としての感性が勝る。

ツルウメモドキの赤い実に囲まれてだるまがにらみを利かせている。白骨のような流木と冬枯れのキカラスウリの実を組み合わせた小品がある。ドライと炭のハスの実が対置されている――壁面全体を一つのキャンバスにした構成でもある。

和紙に少女のような仏様を描いた水墨画が、わが家にある。彼女の個展でカミサンが気に入り、購入した(カミサンと彼女は実家が近く、幼なじみだ)。それ以来、30年ぶりの作品展ということになる。

いわきでは1970年代、「草野美術ホール」を拠点に美術が活況を呈した。ホールの事務所には主に20代の画家や新聞記者が出入りしていた。そこで彼女と知り合った。

そのころ高校生だった旧知の人間が、東日本大震災を体験して25年ぶりに創作活動を再開した。危機的状況が創造へのバネになった。彼女の内面にも同じ危機バネがはたらいたか。それよりなにより、作品展は30年ぶり――そこに私は拍手をおくる。

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