2013年5月13日月曜日

青葉と初ガツオ


久しぶりに夏井川渓谷の無量庵で一夜を過ごした。電車組2人を含む7人が東京、仙台、横浜、厚木、郡山などからやって来た。庭に並んだ車6台=写真=のうち3台はハイブリッド車だ。男たちの心根がなんとなくわかるような気がする。私もリタイアと同時に、ガソリンを食う四駆からフィットに切り替えた。

毎日が日曜日になった人間、請われて役員を続ける人間、家業に忙殺される人間と、それぞれに一日の過ごし方が異なってきた。が、青葉の時期か師走に無量庵に集まり、一献傾けるという習慣は変わらない。3月、「いわきの秘湯」に遊んだ際、大型連休が終わったあとの週末に集合することを決めていた。

いわきの初夏といえば、カツオの刺し身である。行きつけの魚屋さんに時間を指定してつくってもらった刺し身を、急いで無量庵へ運ぶ。見た目にも鮮やかな盛り付けだ。カツ刺しのみの大皿と、マグロ・ヒラメ・イカなどを盛り合わせた大皿と、味は上々だった。

カツオは静岡あたりの沖合で捕れたものが銚子に揚がっているらしい。消費が始まったばかりの東日本では値がいいので、たまたま市場に大型のカツオが並んだ。脂がのっていたのはこのため。ホトトギスが南から到来していれば、文字通り「目には青葉山ほととぎす初鰹」(山口素堂)だが、いわきではまだホトトギスの鳴き声は聞かれない。

夜が更ける前に、スウェーデンの旧友に国際電話をかける。4年前の2009年、同じように無量庵から国際電話をかけ、病気見舞いを兼ねて何人かで北欧を旅した。還暦を記念する「海外修学旅行」はこうして酔った勢いから始まった。

雨の一夜が明けると青空だった。緑に覆われた溪谷の空気がおいしい。軽く朝の食事をして散会する。

2人が携帯電話を忘れた。1人は、私が無量庵にいるうちに戻ってきた。いわき駅あたりで気づいたという。もう1人とは溪谷の途中ですれ違った(クラクションを鳴らした車がそうだった)が、こちらはそのまま気にも留めずに帰宅した。結局、彼は茨城県高萩市あたりでケータイ忘れに気づき、夏井川溪谷からわが家まで大回りする羽目になった。

人のことはいえない。私も前日、ケータイを充電しているのを忘れて家を出た。2人のうち1人も無量庵での「充電忘れ」だった。固定電話を介してカミサンが事情を知っても、ケータイを忘れた人間には連絡がつかない。それぞれがそれぞれに昼近くまで気をもんだ。

3 件のコメント:

走れ!母ちゃん さんのコメント...

札幌から見に来ました。素敵な季節ですね!

走れ!母ちゃん

issay matsu さんのコメント...

いわきは今新緑が綺麗でしょうね。
郡山行きのゆったりとした磐越東線で通ったこの時期アカヤシオが咲き最高のひとときでした。私も「いわきの秘湯」に新館できて間もなく温泉に入りに行きました。泉質も良く、料理もおいしく素晴らしいところですね。
縁あって春から初夏にかけてずっと行ってました。「貴方がおいでになると春が来たなと思う」と苑の人に言われながら、南側竹林の隣に車を留めていると、柔らかな風に乗って「さわさわ」と奏でる音にいつも心が洗われる気がしたものでした。

匿名 さんのコメント...

男はリタイアした後「居場所」がないとつらいと妻が言う。仕事場が居場所なら離れてしまうとどこに見つければよいのか?
わからない。そんな身の置き場を捜すご仁がたくさんいるだろう?

人それぞれというかもしれないが、高齢社会で見た目も元気なご仁が闊歩する。どこかに「居場所」が見つけられれば若い人だけに優遇される社会ではなく生きがいあふれる現実があるのだが・・・

居場所創出。男の居場所ってどこなのでしょうか?