2013年5月16日木曜日

林道のモリアオガエル


いわき市川前町の“スーパー林道”(広域基幹林道上高部線)をたまに利用する。夏井川渓谷の牛小川(小川町)から山中の荻(川前町)まで14キロ。アップダウンとカーブが続く。終点近くの待避所に珍しい看板が立っていた=写真

原発事故から3カ月後、震災見舞いを兼ねて放射線量を測りながら、“スーパー林道”経由で田村市の実家へ帰った。2年後の5月2日、同じルートを、やはり放射線量を測りながら通った。そのなかで目に留まった「モリアオガエル生殖地」の立て看だ。

阿武隈の山中では別に驚くことではない。川内村の平伏(へぶす)沼はモリアオガエルの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。“スーパー林道”から少し行けば、もうそこは川内だ。林道の山の向こう、小川町・戸渡(とわだ)にもモリアオガエルが生息する。水たまりがあって、周囲に雑木が茂っていれば、モリアオガエルは繁殖する可能性が高い。

林道での生殖を喜ぶべきかどうか。待避所にはロープが張られていた。が、アスファルト路面には落ち葉がたまっているだけだ。

それよりなにより、“スーパー林道”は放射線量が高い。2年前は毎時2マイクロシーベルト近くあった。今も場所によっては1.8マイクロシーベルトを超える。山の向こうの旧戸渡分校は、いわき市内に475カ所あるモニタリングポストのうち、いつも最大値(今は0.47程度)を示す。

事故を起こした福島第一原発は北東の方角にある。グーグルで見ればすぐそこだ。地形と風向きがホットスポットをつくった。モリアオガエルたちも嘆き、苦しんでいるに違いない。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

自然を壊した放射能が憎い。
草野心平はこの放射能の雨を憎み悲しんでいるでしょう。

モリアオガエルは太古の昔から進化したDNAの遺伝子を壊されてもこの先ずっと自然の神秘を繰り返すことでしょう。