2013年6月13日木曜日

電気柵

阿武隈高地を行くと、電気柵を張り巡らした水田に出合う=写真(川内村、2008年8月)。イノシシの侵入を防ぐのが目的だ。イノシシが鼻先で電線に触れると、ビビッときて退散する――それを期待した仕掛けであることは、素人にもわかる。

いわき市平の市街地に近い平野部の田んぼにも、最近、電気柵や丸太柵が設けられた。わが家から夏井川溪谷の無量庵へ行き来する山すその農道沿いだ。人間の暮らす領域と動物の暮らす領域の接点だが、これまでイノシシ除けの柵はなかった。

夏井川渓谷の小集落にはトタン柵で囲われた田畑がある。わが無量庵の庭にもときどきイノシシが現れる。住民は昔からイノシシと“共生”してきた。

イノシシの出没する範囲が広がっている。東日本大震災に伴う原発事故の影響でイノシシハンターが減ったのが原因だろう。

先日の新聞記事によれば、阿武隈高地のど真ん中、田村市では農地の獣害対策のために新設する電気柵の総延長が約314キロに達する見込みだという。事故を起こした福島第一原発から「30キロ圏内で利用される農地は、ほぼすべてが柵に囲われる」ようになる。国の補助を受けて、電気柵を設置する農家に助成する。

今度、田村市の実家へ帰るときには、道の両側に延々と電気柵が設けられていることだろう。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

314キロには恐れ入った! 野性動物と人間との共生は事故以来変わってしまったのか?

境界を設けるよりも共存共栄できないものか?

まるで万里の長城を築くような後世に無駄なものを残すように感じる。どこかで悪しき食物連鎖のしくみを崩して共存できないものか考えてしまう。元は事故で人が去ってサイクルが壊れたことでしょうか?