2013年7月22日月曜日

発酵の話

いわき地域学會の第287回市民講座が土曜日(7月20日)、いわき市文化センターで開かれた=写真。講師はいわき明星大薬学部で教鞭をとる馬目太一会員。発酵のイロハをわかりやすく解説した。(馬目さんは「醗酵」の字を使うが、ここは常用漢字で表記する)

人類が発酵食品を発見する過程がおもしろい。熟しきったヤマブドウを食べると気分がよくなることに気づいた人間が、同じものをつくろうと努力した結果、ワインが生まれた。甘いパン生地に水を入れて放置したものを飲んだところ、いい気分になった。ここでも人間が同じものをつくろうとがんばった結果、ビールができた。

腐った食べ物のなかに、食べてもなんともないものがあり、それが元のものと違った魅力的な味があることを見いだした――。発酵食品の発見には人間の蛮勇と食欲と好奇心があった、ということだろう。キノコの食毒についての知識も、同じようにしてたくわえてきた。ただし、こちらは多くのいのちと引き換えに。

日本には乳酸発酵を利用した漬物がたくさんある。野沢菜漬・高菜漬・広島菜漬・すぐき漬・たくあん漬……。なかでも糠味噌はキュウリ・ナス・ニンジン・カブ・大根・ミョウガと、なんでも漬けこめる。難点は、毎日かきまぜないと糠味噌がだめになることだ。

わが家の糠床がおかしい。3日ほど家を留守にしていた間に、かすかだがシンナー臭を発するようになった。カミサンは1、2回、糠床をかきまわしたというが、産膜酵母と酪酸菌が繁殖したようだ。「糠床は男が管理しないとねぇ」。馬目さんと意見が一致した。

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