2013年8月18日日曜日

じゅうねんの冷やだれ

きのう(8月17日)の昼は「じゅうねんの冷やだれ」でうどんを食べた=写真。このところの猛暑で、日中は横になっていることが多い。寝室で本を読んでいたら、ジュウネン(エゴマ)を炒って擂る香りが漂ってきた。それに刺激されて、昼めしの合図に体がむっくり起き上がった。

阿武隈高地では、「よごし」といえばゴマよりはジュウネンのことが多い。彼岸には「じゅうねんぼたもち」(春)、「じゅうねんおはぎ」(秋)もつくる。このごろは「えごま油」も各地でつくられている。

いわき市の南部、山田町の後輩の家で夏の暑い盛りに「そうめんの冷やだれ」を食べたことがある。たれにはジュウネンが使われた。炒ったジュウネンとサンショウの皮を擂り鉢で擂り、味噌を入れてさらに擂り、水を加えてのばし、醤油その他で味をととのえる(わが家の「じゅうねんの冷やだれ」にはサンショウが欠けていた)。食欲をそそられた。

先日、いわき芸術文化交流館「アリオス」そばの平中央公園でパークフェスが開かれた。市の委託でいわきの昔野菜を調査し、実際に栽培してきたいわきリエゾンオフィスの直売所・蔵の市で何点か昔野菜を買い求めたなかに、このジュウネンがあった。阿武隈のおふくろの味のひとつでもある。

「じゅうねんの冷やだれ」を食べながら、汚染される前の阿武隈の山々が、その上に広がる空が、雲が思い浮かんだ。盆に阿武隈の実家へ帰れなかった代わりに、阿武隈が食べ物となってわが家へやって来たのだ、と勝手に解釈することにした。

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